筆舌に尽くしがたい損害を与えた巨大地震に加えての原子力発電所事故。これまでにない未曾有の困難に私たちは直面しています。福島県では県外への避難者も増加し、放射線、さらには風評による農産物への被害も出始めています。
福島県の県土は広く多様で、昨冬の雪害を乗り越えた会津地方は今回の災害では被害が軽微でした。この会津を舞台に昨年開催した「会津・漆の芸術祭」は、2011年に第2回を開催すべく準備を進めてまいりましたが、このたびの災害を受けて開催趣旨を変更いたします。
未来への架橋であり、人々が日々を生きていく上での心の糧となる文化は、このような時にこそしっかり立ち続けなければなりません。
そこで、第1回の実績を踏まえ、第2回の「会津・漆の芸術祭2011」は「東北へのエール」をテーマといたします。具体的には、地震災害と原発事故をうけてこれをテーマに取り組んだ作品、避難者の方々の心のケアに関わるワークショップや公演の開催、福島県の復興ビジョンを文化の側面から検討するシンポジウム、会津の漆の技を活用した復興シンボルの制作等、福島県・東北地方の復興に結びつく事業に特化し会津若松・喜多方を会場に展開します。
今後予想される風評被害による交流人口の減少に対しても、会津が福島県の復興に関わる積極的なメッセージの発信が重要です。福島の文化力の火をともし続ける。そのための事業として「会津・漆の芸術祭」は生まれ変わります。